紹介 NcCycleSense は NC プログラムを読み、制御装置と機械が実際にどう動くかをシミュレートして、サイクルタイムを算出します。

サイクルタイムの算出が難しい理由

CAM が示す加工時間の多くは経路長 ÷ 送り速度で、 機械が最後まで指令送りで走ることを前提にしています。 実際の機械はそうはいきません。角ごとに減速し、 小半径の円弧では向心加速度が送りを制限し、 ブロックが短いと制御装置の読み込みが機械の動きに追いつきません。

指令送りと実際の送りの違い 上は CAM が仮定する一定送り。下は実際の送りで、角ごと・短いブロックごとに抑えられるため、同じ経路でも時間が長くなります。 CAM 実際 指令送り、最後まで一定 短いブロック

同じ経路、二つの数え方。その差は機械が実際に費やしている時間です。

差がどれだけ開くかはプログラムの形で決まります。 長い直線が数本の荒加工ならほとんど変わりません。 セグメント長 0.05 mm の仕上げプログラムでは大きく開きます —— そこでは 1 ブロックを読む時間がそのブロックの運動時間より長く、 律速要因が送り速度から制御装置に移ります。

サイクルタイム算出ページの 「高密度仕上げ」サンプルがその種のプログラムで、 ヘッダに検算の方法を書いています。 「G61 vs G64」は同じ経路・同じ送りで平滑化モードだけを変えたもので、 時間が変わります。

エンジンの計算方法

エンジンはプログラムをもう一度走らせ、ブロックごとに速度曲線を解きます。

エンジンの処理の流れ NC プログラムは字句解析・構文解析・マクロ展開・解釈・運動計画を順に通り、レポートと 3D 経路を生成します。機械設定ファイルは運動計画の段階で入ります。 NC プログラム字句解析 ブロック 構文解析 マクロ 展開と評価 解釈 モーダル状態 運動計画 ★ 中核 レポート · 3D工具別の内訳 機械設定加減速 · ストローク · 非切削 お使いの機械のパラメータに差し替え可能

どの段階も元の位置情報を保持しており、各診断はプログラムの行番号まで遡れます。

運動計画の段階で扱う項目:

マクロ(#100WHILEG65)は実際に評価します。 ファミリープログラムの経路はファイルに書かれておらず計算されるため、 マクロを飛ばすツールには数十行に見えても実際は数百の穴ということがあります。

計算結果はすべて確認できます:工具別の内訳、 各区間で何が律速したか(送り速度・コーナー・円弧・加速度、 あるいはブロック処理時間)、そして律速要因で色分けした 3D 経路 —— クリックすると対応する NC 行に飛びます。 既存の見積もり(CAM、シミュレータ、現場の経験値)を貼れば項目ごとの差が出ます。 レポートは印刷可能な HTML でダウンロードでき、作業指示書に添付できます。

データの扱い

NC プログラム・機械設定・STL はすべてブラウザ内で処理され、送信されません。 エンジンは WebAssembly モジュールで、読み込まれた後の計算はすべてローカルで完結します。

計算の境界 NC プログラム、WebAssembly エンジン、生成されるレポートはすべてブラウザのタブ内にとどまります。外部への通信はコンテンツセキュリティポリシーで遮断されます。 あなたのブラウザのタブ NC プログラムドロップしたファイル エンジン WebAssembly レポート · 3Dこのページの中だけ 機械設定(.toml)も STL も同じです ネットワークを切っても計算できます サーバあらゆるホスト CSP が遮断 connect-src 'self'

サイクルタイム算出ページと機械設定ページのコンテンツセキュリティポリシーは connect-src 'self' で、ブラウザが強制します。

ご自身で確認できます。開発者ツールのネットワークタブを開いて計算を実行しても、 リクエストは発生しません。ネットワークを切って実行しても構いません。 ページごとの外部通信の一覧は監査可能性にあります。

データを送信するのはフィードバックお問い合わせのフォームだけです。 どちらも独立したページで、ファイルのアップロード欄はなく、 送信前に内容を確認できます。

精度について

サイクルタイムの誤差は主に三つに由来します。機械パラメータ (加減速能力、制御装置の処理速度)、現場の条件 (送りオーバーライド、実際の工具交換や待ち時間)、 そしてプログラム自体のばらつきです。 このうち事前に詰められるのは機械パラメータで、私たちはそこに注力しています。

レポートには毎回、使用したパラメータのレベルが記されます:

レベルパラメータの出所到達方法
T0 構成テンプレートの仮定値(機械クラスから推定) 既定。設定は不要
T1 制御装置のパラメータファイル、またはプローブの読み取り値 機械設定ページで入力するか、 P1 プローブプログラムで読み出す
T2 実測挙動から同定した動的パラメータ P2 動的プローブ(開発中)

既定は T0 で、数字は「このクラスの機械ならおおむねこの程度」を意味します。 1 段上げるには機械設定の作成をご利用ください。 各項目に対応する Fanuc パラメータ番号を併記しており、 わかる値を入れるほどお使いの機械に近づきます。

サイクルタイム算出の精度は保証しておりません。 あくまで見積もりであり、案の比較、時間の使われ方の把握、 既存の見積もりと大きく食い違うプログラムの発見に適しています。 見積書や検収の唯一の根拠とされる前に、お手元の機械で照合してください。

モデルの検証方法:公開されている実測データ(米 NIST の製造研究テストベッドにおける 実機の加工記録など)とエンジンの予測を区間ごとに突き合わせます —— 切削・早送り・非切削を分けて比較するため、ずれがモデルのどこから来たかが特定できます。 この照合は新しい機械データが届くたびに繰り返され、 利用者から届いた実測値も同じ照合に組み込まれます。

対象範囲は運動挙動とサイクルタイムで、干渉チェックや材料除去シミュレーションは含みません。 エンジンが未対応の指令を使っている場合は、レポートの診断欄に明記します。

今後の方向

進行中

  • 精度の検証と改善 —— 機械とデータを確保して照合を重ね、 機械モデルを詰めていきます。
  • 機械テンプレートの拡充 —— 構成とクラスを増やします。

次に

  • Windows デスクトップ版と有償プラン。無償版は継続します。
  • 対応する制御装置の追加(現在は Fanuc 系)。お使いの制御装置は? お知らせいただくと順序に影響します。
  • 機械の校正 —— プローブプログラムでお使いの機械の実際の パラメータを読み取り、既定の仮定値と置き換えます。

長期

  • NC プログラムの最適化 —— 同じモデルで改善余地を示します。 2 つの版の差分も含みます。

日付は記載していません。順序は状況とフィードバックに応じて変わります。

見積もりが実測サイクルタイムと大きく違う場合、そのデータが最も価値があります —— フィードバックは 4 項目だけで、NC プログラムは不要です。 それ以外はお問い合わせ(匿名可)または contact@nccyclesense.com へ。